「桜の花は散るから美しい」
10年ほど前に伊藤専務が話された言葉は、今も私にとっての命題。
私たちは春だ、花見だと喜んでいるが、桜にとっては一生の中のひと時に過ぎない。
誰も氣に留めない冬の間も、桜は懸命に生きている。春の訪れと共に一氣に花を咲かせ、自然の中での役割を果たし、花を散らせ、また生き続ける。その繰り返しの中で、どれだけの人を楽しませ、何かを感じさせるのだろう。
そんな生命の美しさを思いながら、身近な愛らしいエゴに苦笑した。1歳7ヶ月になった姪の息子、先月会った時は、自分が食べているお菓子が残り少なくなっても私にくれた。
最近は催促しても聞こえないふりをし、さらにせがむと首を振って抵抗する。「自分のもの」を認識し、数や量が分かるようになってくると、我欲も芽生えてくるのだと学んだ。
私たちは生きねばならない。そして、いつも誰かに何かに生かされている。
学んでそのつながりに氣づき、自分の言葉や行動で感謝の氣持ちを表現できるようになった時、人は美しく輝くのだと思う。
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