2011の世相を表す一字に「絆」が選ばれた。
その発端となった3月11日の東日本大震災で父親を亡くした人が、「あれから、もう9ヶ月が経ち」という言葉で始まる最近の報道を耳にすると、身体が硬直するという話を、私は帰宅中のラジオで聞いた。
何の先行きも見えず、悲しみの癒えない当事者が、この言葉を聞いた時、自分たちのことが忘れ去られて行くような不安や怒りを感じるのだろうと反省した。
言葉が時には人を傷つける。また、その言葉が人を励まし、勇氣を与える。
言葉の糸を紡ぎながら、絆を深めてゆくためには、相手に対する優しさと、もの事を簡単に決め付けない粘りが必要だ。お互いに知識や経験が少なくて、阿呆で強欲で小心だから、失敗もするし誤解も招く。そのまま終わらせるのではなく、お互いに氣持ちを整理し、相手に確認したり伝える勇氣を持とう。
一本の糸は弱くても、何本も組み合わせて織られた布は丈夫で美しい。
そして、そこから造り出される様々なものは、多くの人に役立ち毎日の生活に欠かせない。家族や仲間との心と言葉の交流を通して、明るく力強い一年にしてゆこう。
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