「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」というが、我が家の犬は一番面倒を見ている父に、母が文句を言い始めると、ケージの中で立ち上がり戦闘態勢に入る。
うたた寝をしている父を揺り起こそうと、母が肩に触れようものなら、ケージに体当たりして父を守ろうとする。
その時、目を閉じたまま肩を揺すって笑っている父のことを、面白い人だと笑えるようになったのは、30歳を過ぎてからだ。
それまでは父親の背景も本心も知らず、しばしば母と喧嘩をして声を荒げる一面だけを見て嫌い、経済的にも精神的にも依存しながら文句を言い、氣に入らないことがあると無視していた。
これもれっきとしたいじめだったと、今になって申し訳なく思う。
最近、学校でのいじめが問題になっているが、社会人としての常識を身に付け、人間としての美意識をもたなければ、家庭でも職場でもまともな人間関係は築けない。
子供のことだと決めつけず、自分自身や大人の世界を正してゆくことが先決ではないだろうか。
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