すぽっと らいと 9月

夢志記

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転んで転機にしてゆく

中村 直人


 先月、1歳を迎えた長男が歩き始めた。

日に日に出来ることが増えてゆき、驚きと感動の連続である。

自分もこんな思いで育てられたのかと想像すると、改めて両親への感謝の氣持ちが湧いてきた。
 息子が一所懸命立ち上がり、バランスをとりながらヨロヨロ歩く姿を見る度に、我が家に飾られている珍しいダルマとそれに込められたメッセージを思い出し、複雑な心境になる。それは1昨年の誕生日に門田課長から頂いたもので、ダルマなのになぜか手足が付いていた。

ダルマといえば「七転び八起」。それに手足が付いているのだから、転ばないように踏ん張れという意味だと思いながら、添えられたメッセージを読んでハッとした。「失敗し恥をかくことがカッコ悪い。他人は信じられないと思っているから、肝心なところで腰がひけ、まだ一度も転んだことがない。一度、思い切り転んでみて、自分の足で立ち上がり、一歩踏み出すための手足だよ」。
 何度転んでも立ち上がり、一歩を踏み出し、自分で歩くことが出来る喜びを、小さな身体いっぱいで表現する息子の姿に勇氣づけられる。

 失敗を恐れず思い切り踏み出し、転んでも立ち上がり一歩踏み出すことを、自分の転機にしてゆこう。


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