すぽっと らいと 4月

夢志記

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「分からない」ということを認め、何度も考える

 水野  忍


 私のこだわりの本と言えるようになったのが、司馬遼太郎の『坂の上の雲』です。テレビドラマでも放映されましたが、入社して18年で4回以上通読しました。

まわりの人が話題にしてみえるので、負けじと読みましたが、はじめは「こんな人がいたんだなぁ」と他人事でした。

だんだん今の大宝や、そこにいる自分、まわりの人達と重なるようになり、小説に「ブルっ」と身震いし、その一方で自分自身が恥ずかしくもなります。
 この体験によって、何度も読んだり考えたりしないと、見えないものがあると知りました。自分自身についてもそうです。

入社してから10年ぐらいは、自分はまじめで良い人間だと、小学生の時と同じように思っていました。

立派な強欲さと嫉妬深さで自分が苦しんでいるのに、それを認めることができない阿呆、小心なだけでした。

ここ数年、やっと自分のことを笑って話せるようになりました。
 「自分のことを分からない」と認められるようになると、小説の登場人物が自分と重なるようになりました。

もっと自分を分かりたいし、もの事が分かるようになりたい。

その為に、自分の精神が揺さぶられる体験をしたいと思います。

そして学んで自分で勝負できる力をつけてゆきます。


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