私は入社して38年余り、人生の半分を大宝で過ごしている。
今日はこの間に見て感じたこと、大宝の変遷についてお話ししたい。みなさんにとっては今の状態が当たり前かもしれないが、決してそうではない。
伊藤塾長という指導者のもと切磋琢磨し学んでみえた先輩方による努力の賜物だ。
入社当時、男性ばかりの職場で、女性といえば営業所に「おかあさん」というような人が一人だけだった。
同じ大宝の社員でありながら、自分が所属している所が大宝のすべてで、支店同士は敵対心が強く、野球大会や慰安旅行で顔を合わせると喧嘩ばかりしていた。
塾長が大宝にみえてから最初になさったことは安全活動だった。
毎日のように起きていた事故を無くすためのルールが作られた。
当時、女性は補助的な役割であり、賃金差もあったが、男女の格差が是正され、性別に関係なく同じ様に評価されることが嬉しかった。
男女雇用機会均等法が施行されるずっと以前の話だ。
塾長は何よりも人材育成に力を注がれた。
武田信玄は「人は城、人は生垣・・」と言ったが、企業も同様にそこで仕事をする人が大切だ。
和合塾は門戸開放という経営基本方針に沿って年齢や性別、学歴、職種を問わず志を持って学びたいという考え方を持った人たちの集まりだった。
人はご飯を食べることが出来たら、楽な方へ流されて行く。
そんな人たちの眠っている才能、能力を、学びを通して掘り起こし、より良い人生を歩んで欲しいという愛情によって、業務終了後に多くの塾生が塾長のもとに集まり、自分のため、家族のために学び、大宝全体のレベルアップにつながった。
運動会や文化祭では、一匹狼でやってきた人たちも知恵を出し合い協力し、一つのものを創り上げることで心が養われていった。
23年前に組合地方本部主催のイベントが行なわれた時、終了後の会場はゴミの山だったが、大宝テントの周辺は美しかった。他社の組合員が「へーっ、大宝ってすごいな、さすが教育立社」と話しているのを聞いて嬉しくなった。
そんな指導者を失って不安だと思うが、本当の勉強は自己啓発だと塾長も仰っている。
みんなが力を合わせ、より良い組織を創り上げて欲しい。塾で学んだ人の中から沢山の管理者が生れ、育ち、巣立って行った。地位とは権力ではなく責任だ。
後世に心を伝え、学び続けて下さることを願っている。人生は一期一会。
伊藤塾長に出会えたことをとても嬉しく思っている。
長い間ありがとうございました。
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