和 合 塾 で 学 ぼ う

伊藤塾長講話

「自分たちが生きている時代を知ろう」

 歴史を知り現在を分かることで将来の展望が見えてくる

 現在がどのような時代なのかが分かると、その延長線上にある未来が少し見えてきます。個人の力量についても同じです。「現在の力量」は今日まで過去に何を考え、実践してきたかによります。今が面白くない人は過去から現在まで、学ぶことや努力することから逃げてきた結果です。

 現在を知るためには歴史の勉強が必要です。本日は日本経済の大まかな流れをもとにお話します。日本経済における一番大きな変化は1945年8月15日の太平洋戦争終結です。戦火によって焼け野原となり食料も無く餓死する人も沢山いる中、日本経済はゼロからのスタートとなり、国も民間も協力し立ち直るための努力をしてきました。昭和26年には朝鮮戦争が勃発し、日本経済は特需に沸きました。そして、昭和31年には高度成長が始まり、「もはや戦後でない」と言われました。

 1986年(昭和63年)には「バブル景気」が始まりました。実質経済よりも35倍くらいの経済指数を金融業界が中心となって株や土地の売買でお金を動かし生み出していました。やがてバブルが崩壊し10年以上に亘る経済不況が続いています。

 崩壊の方向に進んでいる社会

 戦後は自分と家族が食べていくのも大変な時代でした。その後、日本の経済は発展し、私たちの日々の生活は大変便利になりました。しかし、その一方では社会は崩壊の方向に進んでいます。

〈 社会現象として 〉

@殺人や放火など犯罪が増加。ますます残虐化、低年齢化している

=治安が悪くなっている。

「オレオレ詐欺」やマルチ商法などが横行。金儲けのためなら何でもする人たちが増えている。

A 自殺者の増加(昨年は3万4千人)

見ず知らずの人たちがインターネット上で知り合い、集団自殺を図る。

B 幼児虐待の多発=大人の精神が病んでいる。

C 自己破産者お急増

D 学校へも行かず仕事をする意志も無い無気力な若者の増加。(50万人強)

 

「こういう時代だから仕方がない」

と言っていられません。なぜならば社会はそのまま企業、家庭、個人に影響を与えているからです。ではなぜ社会が崩壊してきているのか、その要因を考えてみましょう。

 なぜ社会は崩壊してきているのか

@ 「なぜ生きるのか」という人間にとって最も大事な「根本(目的)」を考えず、知識や技術という「手段」を事の外大切にしてきた。

A 戦後60年間、エゴをむき出すことが幸福になる道だと勘違いし、2〜3世代の連鎖により、さらにエゴが拡大してきた。

人間は学ばなければエゴの塊です。

「自分さえ良ければいい」と我欲をむき出しにします。私はおとなしいからエゴはないと思いやしのですが、自分から発信しないというのもエゴなのです。

「エゴに気づきコントロールせよ」と言う会社はあまりありません。しかし、役員、管理者から社員まで皆がエゴを出し始めたら、人間としてのつながりや潤いのない砂漠のような組織になり、中小企業である大宝はあっと言う間に崩壊します。

B 個人も組織もむき出しの「エゴ」について、ほとんど自覚できない状態になった。

C 長期に亘る目で見て考えると、日本経済は成熟ないしは衰退の初期にあり、それゆえ市場主義経済が荒れ狂い、金儲けのためならなんでも商品にし、どんな手段を使っても良いという風潮を生んだ。

D 本来簡単には決められないものまで、」勝ち組」「負け組」という二元論で単純に峻別され、世の中に余裕(遊び)がなくなり、人はまともな精神でいられなくなった。

E 人口の年齢構成(高齢化、少子化)経済の枠組みの大幅な変化により、若者が目的や目標を持つことが難しくなり、刹那的な気分になってきている。

 現在の財政は国の借金が約700兆円、地方の借金が300兆円。実質的国の税収は40兆円という状況です。さらに国民保険加入対象者4000万人のうち、約4分の1にあたる1000万人の人たちが未加入というように、60年間かけて作ってきた制度が機能しなくなっています。

 その中で将来を背負っていく若者たちも先が見えず、今が楽しければいいと刹那的になっています。そうなればなるほど社会はより速く崩壊の方向に進みます。20代、30代の人たちは社会のためにも会社のためにも、そして何より自分たちのために、よりしっかりしなければなりません。

 学び自分を鍛え、知恵ある人になろう

 どこにいて何をしていても、このような時代を生きていくのは大変なことです。何も考えずぼんやりしていては、その流れに飲み込まれてしまいます。

また、「あれが悪い、これが悪い」と人の責任にしていても何も解決しません。

自分と家族、会社、社会を守るためには実力のレベルを上げること。すなわち智恵のある人になることが必要です。

 智恵のある人とは、普遍性のある柔軟な対応ができる人です。これからもっと色々な問題や課題が生まれてきます。そのときにどこでも通用し役立つ「脳力」を身につけてゆくためには、次のことが大切です。

実力のレベル(智恵を身につける)方程式

@精神の育成度×A自覚の度合い×B知識・技術の幅×実践の密度

実力のレベル(次元)  智恵が身についている状況

@ 精神の育成度

 「精神」とは自分の考え方や行動を根本で決定しているものです。

学校を卒業し社会に出ると一人前の大人だと勝手に思っています。しかし3歳や5歳の子供と比較しても、同じような事をやっています。

 門田課長は5歳の時に急須の先を割り、叱られるのが怖くて茶だんすの引き出しに隠したそうです。お母さんに「割れたものは仕方がないが隠すな」と教えられたそうです。大人になっても自分が犯したミスを隠そうとする人はたくさんいます。

A 自覚の度合い

 勉強会などで話を聞くと多くの人が「なるほどなぁ」と思うはずです。しかし、これまだ「目ざめ」の段階です。それを「気づき」「考え」「実践」につなげていくには努力が必要です。自覚の度合いは「目ざめ」と「気づき」の深さとその具体的な数量によって決まります。

B 知識・技術の幅

 いくら専門分野でも「物流のことしか分からない」のでは困ります。政治、経済、歴史、文化など一般教養が大切です。

C 実践の密度

 やりっぱなし、聞きっぱなしではなく、本気になって何をどこまで実行し続けてきたかです。

 

 実践するのは皆さん自身です。実際に努力している人は年齢や立場に関係なく成長しています。大宝運輸が長年にわたる学びを通して、いい所まで来て足踏みをしているのは、これらを本気で実践する人が少ないからです。

 今日お話したことは会社が発展し、自分の人生を自由度をもって切り拓いていくためのベースです。厳しい時代ですが、だからこそ、人間として潤いのある生き方をしていくための戦いをしているのです。自分のことも幅広い観点から考え、エゴをコントロールし授けあい、楽しみながらより正しい方向で生きていける自分と組織を創って行きましょう。


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