1 社会は崩壊の方向に流れている
新聞やニュースなどマスコミに登場する言葉は、その時代を反映しています。最近では左図の言葉を、毎日のように耳にします。
30年前は子供の誘拐や殺人事件が起きると、日本中が大騒ぎでした。
今はあまりにも多く身近になってしまい、「またか」と驚かなくなってしまいました。こうして怖さに慣れてしまうことは、社会が急速に崩壊の方向に進むことに、間接的に荷担していることになります。
殺人、誘拐、窃盗、偽造、ひったくり、わいせつ、横領、粉飾、買収、虐待、いじめ、自殺・・・ |
現在、私たちはそんな社会の中で生き、家庭や企業を経営しています。自分と家族を守り、みんなが安心して働ける条件を作り出してゆくために、人間としてどう生きるべきかを学び、身につけ、より質の高い個人、組織を目指してゆきましょう。
(1)崩壊の流れを知ろう
ここで崩壊の流れについてお話しします。
現在の日本は国の借金が増え、経済的に成り立たなくなり、政治家や官僚による汚職も後を絶ちません。その影響は地方自治体にも及んでいます。また、地域社会の人間関係は希薄になり、誘拐や殺人などの事件が多発しています。
ここまでの状況に歯止めをかけるには選挙ぐらいしかありませんが、もの事が分からないと、ひどい目に遭います。私たちの力で守ることができるのは、地域社会の一部と、会社と家庭と個人です。それができる力をつけなければ、社会の大きな流れに押し流されてしまいます。
(2)崩壊の要因
@金が人間の先を行く時代
戦後60年、市場経済原理に基づく規制緩和によって自由競争が激しくなり、金儲けのためなら手段を選ばないという、行き過ぎた資本主義
が、人間よりもお金の方が先を行く、拝金主義をもたらしました。
人間に「なぜ生きるのか」をまともに考えさせない社会の中で、ほんの一部の勝ち組と、多くの負け組との、貧富の格差が大きくなり、どちらも疲労感と無力感を抱いています。
A戦後教育の総決算
戦後の教育では知識を詰め込み、その量を表す「偏差値」によって競争させ、生徒に優劣をつけました。「人間とは何か」を考えたり、人間に対する思いやりを教える時間がなくなり、自分でものを考え、創造する能力が置き去りにされました。
また、道徳に対する間違ったとらえ方により、「道徳」を軽視し無視してきました。道徳とは人間として守るべき社会の約束事と人徳を合わせたものです。
その約束事の基本は、
1. 人の命を奪うな
2. 嘘を言うな
3.
人のものを盗むな
という戒律です。
そして、人徳とは人のために役立つ考え方や能力、実行力を身につけることと、我欲を小さくすることです。これらを身につけることが道徳(教育)であり、和合塾で行っているのもそのための勉強です。
B情報メディアの発達
テレビ、パソコン、インターネット、携帯電話等の急速な発展と普及により、情報収集という意味では大変便利になりました。しかしその一方で、本当のことは何かを考えさせる余裕もなく、「情報=現象」が次々と提供されることにより、問題の本質が分かりづらくなっています。便利さを得る替わりに、考える力を奪われているのです。情報を元に考え判断する力を身につけることで、情報の選択と活用を行なってゆきましょう。
2 当社の独自性とは?
当社は約30年前から、社員教育を通じて社員の主体性を生み出し、企業の発展につなげることで、ゆるやかな成長を遂げ、それが企業の独自性(同業他社との違い)となってきました。
ところが現在、重大事故の後も事故が続き、会社の業績も悪化しています。これは組織のたががゆるみ、社員の多くが甘ったれ、自分の我欲をむき出しにしている結果です。
会社の独自性は、個人と組織の
[やる氣×能力×技術]
によって生み出されます。ここで「社員の質」と「会社、職場の風土」について見直してみましょう。
《社員の質》
@
ミス、クレーム、事故の発生状況
A
挨拶をはじめとして、人間として相手に好感を持ってもらえる存在かどうか
B
どれだけの人が学んでいるか
《会社、職場の風土》
@
互いに援け合う雰囲氣があるか
A
明るく活発な氣があるか
B
色々な変化があることが、当たり前という認識があるか
C
少しでも業務を改善することに、多くの人が参画しているか
会社が独自性を失えば、運賃や料
金はさらに安くなり、そこで働く人たちの条件は悪くなります。非人間化の方向へ進み、精神的奴隷として働かなければならなくなるのです。これを「悪魔のサイクル」と言います。
自分と家族が少しでも安定した生活を送ってゆくためには、個人の質と、その基盤となる職場の風土を高め、独自性を生み出してゆくしかありません。決して他人事ではないと肝に銘じ、実践してゆきましょう。
3 守る為には力が必要
自分が守りたいと考えるものを、本当に守るには「力」が必要です。
@
守りたいものは何か?
「幸せになりたいか、不幸になり
たいか」と尋ねると、全員が「幸せになりたい」と答えます。それを実現するには、努力して力をつけなければならないのですが、そこからは逃げ、結果だけ求めるという、実に身勝手な人が沢山います。
A何かを捨てる勇氣
実力をつけるためには、「選択の余地」が必要です。選択を表す英語は二つあります。色々な中から好きなものを選ぶ「チョイス」と、必要なものを選んだら、何かを捨てるという意味の「トレードオフ」です。
家は欲しい、高級車も欲しい、子供の教育にはお金をかけたい、見栄も張りたい、と両手一杯に握りしめ、身動きができない人もいます。この状況で条件を変えようと思っても、よほどの意志がなければ、何かを捨てることはできません。
B知識を身につける努力
知識を覚えるだけではなく、それを実際に身につける努力をしなければ、絶対に実力はつきません。例えば「勇氣とは、何かを@攻めるA守るB捨てることだ」と言葉で覚えても、実際には腰抜けで、何も行動に移せなければ、全てが崩壊します。社会に出てからの勉強に時間がかかるのは、得た知識を身につけるには努力と継続が欠かせないからです。
C学ばない覚悟
学ばないということは、自分の人生を捨てることに匹敵します。その結果としての責任は自分にふりかかってきます。その時に文句を言ったり、愚痴を言わなくて済むよう、覚悟してください。いつまでも「なんとかなるだろう」と甘えていてはいけません。
4 仲間と共に学ぶ楽しさ
新年を期にグループ再編を行ないます。リーダー・サブリーダーの立候補、推薦者も集まり、年内には決まりますので、楽しみにしていてください。
これまで約6年半、一所懸命活動してきたグループは、少しさみしいかもしれませんが、従来の関係に加え、さらに社内での人脈が広がることを、大いに楽しんでください。
少人数でのグループ活動は、お互いの知識や経験を学ぶのに絶好の場です。リーダーもメンバーも心を一つにして、お互いが成長したと実感できる運営を工夫してください。それが大宝全体にプラスの影響を与えます。
今年、中川支店では、塾などで学んだことを支店内の活動に活かし、個人の氣づきと変化につなげています。その努力が「身につける」ということです。新しい何かを生み出す起点として、学んだことを活かしてゆきましょう。
今年も残り少なくなりました。皆が氣持ちよく正月を迎えるために、互いに援け合い、年末の繁忙期を無事故で乗り越えましょう。
一年間ありがとうございました。
※今回、定例会の最後に、一年で最も成長したと感じる塾生の投票とアンケートを行ないました。
結果は1月22日(日)の和合塾新年会で発表いたします。
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