4月和合塾定例会 4月4日(水)

 伊藤塾長講話

 先日、春闘に向けての労働組合からの要求書提出がありました。

世の中は我々が住みやすい方向には流れていません。経営環境も厳しい条件ばかりです。こんな時だからこそ人間としての喜びや悲しみ、怒りを分かり合い、認め合える組織が必要です。

力を合わせ最大限の努力で、まずは現状を維持してゆきましょう。
 社員を会社にとって都合の良い 奴隷にしようとするなら、社内で勉強会を行なう必要はありません。アメとムチがあればいいのです。

大宝が「教育立社」を経営基本方針の第一に掲げ、30年以上に亘り実践しているのは、社員の皆さんに少しでももの事が分かり、人間らしく生きて欲しいからです。
 労働集約産業における業績は、社員一人ひとりの生産性によって決まります。生活のため指示されたことは嫌でも最低限行なうという社員、「やらされている」という意識が強い社員が多ければ、不平不満が多く生産性も上がりません。

指示されたことに自分の考えを入れて行なう社員、始めから自分の意志で参画する社員の数が増えただけ、仕事は面白くなり生産性は向上し、個人も組織全体も生き活きしてきます。同じ時間を生きて働くならば、どちらを選択しますか?
1 考えるための力

 私は勉強会の場などで考える材料を提供した後、必ず「自分で考えよ」と言っています。しかし、そのためには考える力が必要です。勉強会に参加しても、考える力を身につけなければ、学ぶことにはなりません。
 例えば、「自分のためにサラ金には手を出すな」と言っています。200万円借りたとして金利を約30%で計算すると年間の金利は60万円。金利だけでも月々5万円返済しなければなりません。お金に余裕がなくて借りる人が、それだけ必要になればいつまで経っても元本返済には至りません。考える力がある人ならば、その算数をしただけで、借りようとは思いません。
2 幸せの中身
 私たちが生きている資本主義社会は、ありとあらゆる手段で人間の欲望を刺激し、餓鬼をたくさん作ります。餓鬼とは、仏教で餓鬼道に落ち、飢えと渇きに苦しむ亡者。「もっと欲しい、もっと・・・」と貪り続けることを表します。誰もが多かれ少なかれ持っています。普段、何氣なく見ているコマーシャルも、そんな人間の欲望と嫉妬心をあおり見る人の購買意欲をかき立てます。住む家で家族の絆が深まり、乗る車によって仕事の質が変わるならば、無理してでも買えばいいのですが、現実はそれほど都合良くはいきません。
 自分が餓鬼のままでは、いつでも目先の損得と嫉妬心にさいなまれ、楽しいことはありません。餓鬼になるかどうかは、持っている金やモノの量では決まりません。餓鬼の中にも色々あります。
@無財餓鬼=財(金やモノ)を持っていない餓鬼
A少財餓鬼=財を少し持っている餓鬼
B多財餓鬼=財をたくさん持っている餓鬼

 一番悲しいのは@の無財餓鬼です。Bの多財餓鬼は金やモノをたくさん持っていても足りず、さらにかき集めようとします。そして、失うことを恐れ心配が絶えません。いずれにしても餓鬼には変わりありません。人間として本質的に同じレベルにいるため、よくケンカになります。
 金やモノはそんなに無くても、餓鬼の部分が小さければ、幸せを感じることが出来ます。また、餓鬼の部分が小さくて財が多い人は、その金の使い方を考え、人に役立つ活かし方ができます。大切なのは財産の有無ではなく、その人の心の豊かさなのです。それが分からないと、持っているものだけ見て羨んだり、嫉妬してしまいます。

 これからの時代は、「何が自分にとって幸せか」を個人個人がまじめに考えることが大事です。幸せの中身は人それぞれです。本当に金持ちになりたかったら、そのための勉強と努力をすればいいのです。それをせず餓鬼を無意識にやっているうちに、背中に貧乏神や疫病神がつき、居場所を小さくしてしまいます。
3 意識して人生をつくる
 自分が失敗したり、マイナスの部分を指摘された時、「無意識でした」と言う人がいます。知らずにやったのだから仕方ないと、一見弁解するのに都合が良いように思うのですが、本当は意識してやるよりたちが悪いのです。
 意識は脳(大脳新皮質)の働きによるもの。無意識はそれより深い部分、自分の魂、精神の働きによるものです。そのため日頃、無意識に文句や愚痴、泣き言を言っている人の方が、自分自身のズレに氣づきにくいのです。
 今日は新年度初の定例会です。昨年度一年間を振り返り、今の自分は次のどれに該当しますか?
@まぁまぁ満足
Aなんとなく惰性できた
B不平不満、愚痴が多かった

 では、その人生を作ったのは誰ですか?いずれにしても自分自身です。色々な外部要因があり、自分が意識するかどうかは別として、自分のものの見方、考え方が、自分の人生を作っているということが分かれば、人生は変わってきます。
4 自分をダメにする三点セット

 自分を腐らせ人生をダメにする大きな流れは、次の通りです。
誰もが持っているものですが、自分の人生を大事にするためには、ものが分かるよう努力し少しでも無知の部分を小さくするしかありません。子供がいる人はこのことが分からず、家の中で無意識に出していると、子供たちに連鎖しさらに大きな被害者意識を植え付けてしまいます。
5 なぜ、やる氣が継続しないのか?
 調子が良いときと悪いときの感情の波(起伏)が激しく、すぐにやる氣を無くしてしまう人は、多くが感情に支配されています。人間は感情の働きだけでは自分勝手で、ブレーキのない自動車と一緒です。自分の都合で動くので、周りの人からも信用されません。人間の感情をコントロールしているものが理性(感情に流されたりしないで、論理的に考えをまとめたり、もの事を判断したりする頭の働き)です。

 学び水位である理性の次元を高めることで自分の考え方、行動の芯棒ができ、感情をコントロール出来るようになります。そうすると多少の波はあっても、大崩れすることはありません。会社の中で正社員は最も組織に責任を持つ人たちです。自分の感情だけで浮き沈みを繰り返すのではなく、理性でコントロール出来るよう訓練して下さい。将来、組織のリーダーになり得るかどうかは、そこにかかっています。
 マイナス面だけを見ると厳しいことばかりですが、私たちにとって一番大事なことは、次の三つです。
@自分というものを掘り下げ見つけ 出す
A自分の考えていること、ものの見 方、考え方のズレを探し正す
B自分の周りにいる人たちと、出来 るだけ仲良くする

 これらを真面目に追求してゆくことで、仕事や人間関係、人生を面白くしてゆきましょう。


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