今日のテーマは「リーダーシップ」です。
戦国時代の武将は命を懸けて戦を行ない、負けた時は部下の命を救うため自ら命を差し出すこともありました。
先回もお話した「大小者党」の党首は、「お前が大将だ」「戦に行って来い」と言われると、「わかりました!」と喜んで返事をしますが、戦になると「でも鉄砲の弾が飛んでくる所は怖いからイヤです!」と言うんです。
この話をするとみんな笑いますが、我々も同じです。
日本でも66年前まで戦争で指揮官も兵士も民間人も命を懸けて戦い、命を失いました。嫌でも戦争から逃げることが出来ない時代だったのです。
それに比べると今の責任の取り方は大したことはありません。
今は本当の意味での武将はいません。
サラリーマンとして毎日会社に来て、指示された仕事を行ない、給料をもらって家族で仲良く暮らすことが幸せ。
それで充分だという人が増えているように感じます。それも大事なことですが、個人の都合、個人の幸せを集合させたらみんなが幸せになれるかというと、そういう人ばかりでは組織は非常にもろくなります。
誰かが目的、目標を明示したり、みんなの欲求をまとめて、方向を定め、様々な都合や困難があってもみんなが力を合わせられるようにして、やっと目的に到達することができます。
いつの時代もリーダーになることは難しいのですが、これからの時代は方向も見つけ出しにくく、人をまとめることも困難で、鉄砲弾に当る可能性も高くなります。
単なるエゴではなく、自分が何かをやるためにリーダーになりたい人は、次のようなことを考え実践し、身につけてください。
1.リーダーに必要な条件
本当のリーダーになろうと思うと、人間としての魅力が必要です。色々な切り口がありますが、一番大切なことは次の4つです。
@ 自分なりの信念を持つ
信念とは人間としての哲学です。
年齢や学歴、肩書き、財産の有無などに関係なく、自分がこういう人間になりたいという考え方・信念、大宝の社員としてこんな会社にしたいという志、こういった人間としての哲学が、人間の魅力の根底になります。
簡単には出来ませんが、私たちはそれをつくるために学んでいます。
A なるべく献身的である
献身的とは自分の心身やエネルギーを相手のために使うことです。
学んで私利私欲が小さくなると、その人の行動は無意識でも変わります。
そして、それが相手の心を動かします。
B 人の進言、忠告を良く聴き入れる
先日、私は本社の久保田さんに間合いの取り方が悪いと指摘しました。
物理的・心理的な間合いの取り方が悪いと、相手は愛嬌を感じず、可愛がってくれません。
久保田さんは4月から営業部員として仕事をしていますが、それでは社内の関係もお客様との関係も上手くいきません。
久保田さんは指摘について一晩考えてレポートを書いてきました。言われたことが痛いことほど耳を傾けよく考えることが大切です。
挨拶をする時も、どういう間合いの取り方をするかは人によって様々です。
今日のように多くの人が集まる場では、特に良く分かります。
C 弱い者をいじめない
私は昔から全社講習会などで、肉体的なハンディを抱えた人などをいじめたら承知しないと言って来ました。自分より弱い相手をいじめる本能は誰にもありますが、それは卑怯な行ないです。
人間として恥ずかしいし、共感する人はいません。
それは人間として許せない行為だからです。
このようなことを頭に入れて、身につけていかないと、本当の意味で人間の魅力は生まれず、支持してくれる人は出来ません。
人間性の低い人がリーダーになっても、組織を上手く運営することは出来ないのです。つまらないところで威張らず、人間の魅力をつくる努力をしましょう。
2.リーダーの仕事
リーダーは何をすることが仕事なのでしょうか。
@ メンバーのやる氣を引き出し、高める
言葉では簡単ですが、みんなそれが出来ずに困っています。
色々な条件を考え、相手に働き掛けなければ、やる氣を引き出すことは出来ません。ましてや高めるなど至難の業です。
ラーメンを一杯おごってみんなのやる氣が高まれば簡単です。
支店の管理者が大変なのは、何十人、何百人の人間を相手に、メンバーのやる氣を引き出し、安全に質の高い業務を行なって一定の利益を出さなければならないからです。
A 組織をまとめる
氣が短い人、腕力の強い人、話せば理解してくれる人、何回言っても分からない人など、みんな違った人たちに、組織が目指す方向を納得して実践してもらうのは大変なことです。
一対一の個人の関係と、組織の方向を明確に打ち出すことの両方がなければ、組織はバラバラになりまとまりません。
その場合、合法的なパワーで押さえ付けて運営するしかないのですが、それでは管理者もメンバーも面白くありませんし、長続きしません。
B 目的・目標の達成に向け 先頭に立つ
よほど力量のある部下がいて、一定の信頼関係があれば「お前が先頭に立ってくれ」と言えますが、それ以外は自分で立つしかありません。
人間的魅力を身につけ、リーダーの仕事を明確にし、それでもリーダーをやりたいと思ったら、やりがいのある実に面白い仕事です。
金ではなく仕事そのもの(仕組みや構想をつくり、実際に組織を動かし実現して行く)が面白いと感じるかどうかは、人間の生き方の問題です。
大宝は経営基本方針にあるように「門戸開放」です。
学歴や国籍や性別に関係なく、みんなのために何かやってやろうという氣概のある人は、是非リーダーになってチャレンジしてください。
ただし、自分だけ上手くやってエゴを達成するためなら、絶対に上手くいきません。最初からやめた方が自分のためです。
3.リーダーの役割
「経営」のテーマでも話したように、P・F・ドラッカーは「人間が分からないと経営は出来ない。経営者になろうと思ったら人間の勉強をせよ」と言っています。
いつの時代も人間の心がつかめないと戦をすることは出来ません。
リーダーの役割は「統率」です。組織が決めた方向で各自が役割を果たせるよう統率するために、この2つが必要です。
統率とは
@統御=人間のやる氣を引き出す
A指揮=方向を示す
4.リーダシップの定義
リーダーシップは
@目的目標がある
Aある状況下で発揮される
Bコミュニケーションを通じて行なわれる
C対人関係の力
リーダーシップは究極の人間関係です。
まず何か問題が起きた時に、自分の意志を相手に伝えることが出来なければ、リーダーとして務まりません。また伝えるだけでは、もの事は進まないため、次のプロセスを経ることが必要です。
5.管理者の仕事
管理者の仕事は次の3つが必要です。
@業務の指導
Aものの見方、考え方の指導
B人間として生き方の指導
同じ仕事を3年もやっていれば、業務を覚えることは出来ますが、考え方は意図しなければ身につかず、生き方は自分自身の身についていないことを、人に教えることは出来ません。
自分が知っている業務のほんの一部分だけを教えて、自分が管理者だと錯覚し、考え方の指導が出来ないと部下も困ります。
「 四維=礼(マナー)義(約束を守る、人の役に立つ)廉(目先の損得を離れた潔さ)恥(恥を知る)が大事だ、これがないと、まともな社会人として世の中で通用しないぞ」と教えることは、生き方の指導です。
6.組織を動かす6つのパワー
日本人は「力、パワー」というと嫌がる場合が多いのですが、メンバーを活かし組織を動かすためには、本当のパワーが要ります。
@強制的パワー
急いで何かをしなければならない時、理屈抜きで「やれ」と言ってやらせ、後で論理的に説明することです。
A関係的(コネクション)パワー
良い人間関係もパワーです。当人同士しか通用しないので、第三者がそこだけ真似しても通用しません。
B専門的パワー
専門的な知識、能力を持っていることも重要です。
C情報的パワー
人は情報で動きます。世の中や会社の動きなど必要な情報を沢山持っているのも大事なことです。
D合法的(地位、役職)パワー
ただしそれだけでは動かないのが人間です。
E人間的好感パワー
あの人は嘘を言わない、人のために役に立とうと頑張っていると相手が認めた場合大きな力になります。
F報酬的パワー
金や立場だけでなく良い人間関係があり、勉強の場があり、ものを教えてもらえるのも報酬パワーです。
世の中は無常です。常に変化しています。
今は特に世の中が大きく変化しています。目先で1万円余分にもらっても人生の支えにはなりません。
とにかく学んで力をつけてください。 |