9月和合塾定例会 2011年9月7日(水)

9月和合塾   

【テーマ】 「組織とは何か 」

鈴木たか子塾生のお話

 今日は伊藤塾長のお誕生日です。おめでとうございます。

自分をごまかさず、恰好をつけず、もの事が分かる努力をし、自分とまわりにいる人の人生を少しでも豊かにしてゆくことが、私たちに指導してくださっている塾長への何よりの感謝の意です。

その結果として自分たちのいる大宝が社員にとって幸せで、社会にも受け入れられる会社にしてゆけるよう学び続けましょう。
 今日のテーマは組織です。

私は大宝に入社して「家庭も学校も会社、病院、地方自治体、国、世界も、みんな組織。人が2人以上いたら組織だ」と教わりました。

自分もその構成員であり、何らかの責任を負っている家庭も組織だと知り、とても身近な話なのだと新鮮な思いでした。

私も含め入社の動機は、安定した仕事と収入があり、社会保険に加入できる、その仕事に対応できるよう教育してもらえるなど、自分の都合を満たすためで、会社に入れば安心だと思う人が多いのですが、それは当たり前ではありません。

自分にとって都合の良いことばかりではなく、会社の規則や約束事を守り、たくさんの人と力を合わせ、それらの条件を守りつくり出して行く役割を、自分も担っているということを分かり、意識してゆくことが大切です。

磁石を組織に例えると鉄も磁石も同じ分子(Fe)で構成されていますが、その配列の違いによって特性が変わります。

 構成員がいて、目的・目標があり、規範・規律・規則があり、指示・命令があるということが、組織に必要な要素です。

少しでも氣持ちよく、働きやすくするためにはどうしたら良いか、知恵を出し合うことが必要です。

これは家庭も同じです。

自分が大事な役割を担っているのだと思い、見直してみましょう。


伊藤塾長講義

 みなさんありがとうございました。今日で67歳です。

31歳で大宝に入社し、あっと言う間に倍以上の年齢になりました。人間は本氣にならないと時間を大切にしません。

本氣とは命を懸けることです。それぐらいの氣持ちがなければ、結局自分のエゴを満たすだけで、誰一人助けられず、何もできません。

私も長生きをしたいという氣持ちもありますが、肝心なことは生きていて何をするか、何が出来るかだと考えます。

皆が幸せになるために幕末維新に日本という国を変えようと活躍した坂本龍馬は33歳で暗殺され、長岡藩家老の河井継之助も藩の武装中立を守ろうとして自分の意志で開戦し、戦に負けて42歳で死にました。

帝国主義の争いの中で日本の生き残りをかけた日露戦争の日本海海戦で奇跡的な勝利をもたらす作戦を立てた秋山真之は、その後、宗教にのめり込み最後は病氣になって死にました。

みんな自分の信念に沿って生きた人たちです。
 私も含めこの中で50年後も生きている人はほとんど誰もいません。

大半が死んでいます。人には色々な生き方があり、ボーッとして生きるのも、目先のわずかな金で左右される生き方も否定してはいけません。

私は自分の信念と一緒に死ぬほど本氣ではなく中途半端な男ですが、たった一度きりの人生を大切にするためには、死について考えることが必要です。

3歳の子供も1年生きたら1年死に近づいています。

そういうことが多少分かると、若干でもエゴをコントロール出来、その分だけ周りの人から支持されるようになります。

ごまかして怠惰に生きるよりも、自分で何かを考え、何らかの影響を他人に与え、役に立てるよう、学んで力をつけてゆきましょう。
1、生き物である組織を生かす条件
 組織は人間の発明品です。

平凡な人間が集まって一人では出来ない非凡なことを成し遂げるために作られたものです。会社が発展するかどうかは、組織によって決まります。

その組織に必要な要素は下図の通りです。
@何のためにその組織が存在するのかという「目的」
Aその目的を達成するための「組織構造」
B組織内の「人間関係」
C金銭を含む様々な条件「報酬」
D「援助的なメカニズム」

 この5つが「リーダーシップ」を核にして全てつながっています。

リーダーシップは、船で言えば舵です。

どんな大きなエンジンを持った船でも、舵がなければ動かず、同じところをグルグル回るだけです。

飛行機も舵となる垂直尾翼がなければ飛べません。

生き物である組織がまともに機能し、目的を達成させる鍵を握っているのが、舵を動かすリーダーの存在です。

個人としてどんなに身体が大きくて腕力があっても、ものを考える力、哲学、理念がなければ、舵をとって何かを為す事は出来ません。

何かあった時、舵を切って組織を動かすのがリーダーの仕事です。

その時「分かりません」と言っていては、船ならば沈没し組織であれば崩壊します。
2、人間を生かす人本主義
 組織には「目に見える構造」と「見えない構造」の2つの側面があります。

見えない構造とは、組織が持つ風土や文化です。

ものが分からない人が集まっている組織は、見える構造ばかり氣にして、日常の雑談でも平氣で「文化なんか関係ない」と言います。

それは「私はものがわかりません」と言っているようなものです。そして、見えない構造=文化を作っているものは次の4つです。
@指揮官の哲学、理念=それが何なのか分からなければ、指揮官になれる条件はありません。
A組織の構造がどうなっているか=大宝は経営基本方針に「門戸開放」を掲げています。実際にそれを具現化することが大切です。
B管理のシステム=一定の期間であれば強制パワーなどで押さえ付けて管理することも出来ますが、それではメンバーは奴隷的になって、自分で考えて行動しなくなります。個人が自分の意を出して、他の人の役に立つ自由度の高い組織を作るために、私は勉強会を行なっています。
C構成員(メンバー)の質の高さ=良い組織、働きやすい組織にしようと思ったら、メンバーの人間としての質を高めるしかありません。

部分的な機能だけでは質とは言いません。

 どちらのやり方で美しい機能を追求するかは、会社の哲学、理念によります。本来、一所懸命勉強して人本主義にした方が良いのですが、学ぶことから逃げ、エゴばかりむき出しているということは、自ら自由度を得る権利を放棄していることであり、実にもったいない話です。
3、リーダーを支え組織をまとめる調整者
 個人が自分のことだけを考え、つまらないところでぶつかり合うと、組織は非常に厄介です。だからこそ組織には最終的な調整者が必要です。

豊臣政権崩壊の一因は、弟の秀長が若くして病死したことです。

温和な人柄で多くの武将に慕われた秀長は、一定の教養を持ち、もの事をなるべく公平に見て判断を下すなど、豊臣政権のまとめ役でした。

武田信玄も、弟の信繁が有力な武将との関係を円滑にしてくれていました。その信繁が川中島の合戦で戦死したことが、武田氏の崩壊を早めたとも言えます。
 組織には目に見えないリーダーの哲学と、最終的な調整者が必要です。

肩書きではなくそういう役割を果たしてくれている人が、組織の中にいるはずです。そういう人がいなくて、権力者におもねり迎合する人ばかりの組織は実にもろく、勢いをなくしてゆきます。

学ぶほどに、組織は非常に大事なものだということが分かり、学んだことを実践してゆくと、組織運営のおもしろさを実感することが出来ます。

自分と仲間を活かす組織を、多くの人の努力でつくって行ってください。


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